ICCトレーナー研修を終えて
先日、スペインのマヨルカ島にて7日間にわたって開催された、第3回目になるICC(国際コーチング連盟)トレーナー研修に参加してきました。参加資格は、ICCの共同創始者であるジョセフ・オコナー氏とアンドレア・ラゲス氏による推薦です。
日本で最初に開催された㈱チーム医療主催のICC国際コーチング認定トレーニングにおいて、ICC認定国際コーチとしての資格を与えていただき、さらにICC認定トレーナーになるための研修への招待を受けました。
最初に招待を受けた時は、参加者全員が招待されているのかと軽く考えていたら、二人だけ選ばれたとのことで、その招待の重みを感じるとともに、なぜ自分のような治療家が選ばれたのかとても不思議に感じていました。
なぜならば、参加者の中には既に活躍されているプロのコーチや、大学教授、医師、コンサルタント、カウンセラーなどの優秀な方々がいらっしゃいましたので、そのような方達を差し置いてなぜ・・・という感覚は自然に湧いていました。
しかし、後で考えてみると、臨床現場で長年研究し培ってきたニューロパターンセラピー(PCRT)のノウハウが自然にコーチング手法に活かされて、それらが研修で提出したレポートや、認定試験に反映されていたのだろうと思えるようになってきました。
他のプロのコーチがどのような手法を取り入れているかは定かではありませんが、ニューロパターンセラピーの手法では、意識と潜在意識をつなぐ本質的な質問が必要になるので、常に臨床現場では本質的なコーチングを自然にしていたように思います。
正式なICCトレーナー研修の招待は、研修開催の3か月ぐらい前にメールで届きました。単に参加するだけでなく、ステージ1とステージ2に分かれて、いくつかの課題がトレーナー認定の条件となっていました。
また、その研修の参加資格は、選ばれたICC認定国際コーチのみが招待され、毎年開催されるような研修ではないとのことが付け加えられていました。しかも日本人としては初めての招待なので、改めてその招待に重みを感じました。すでに計画している年間スケジュールに照らし合わせると、偶然にも診療日以外のスケジュールには問題がありませんでした。もしも、主催しているセミナーに重なっていれば参加することを断念していたかもしれませんが、その予定にはぎりぎりセーフ。
実際にICCトレーナー研修と弊社主催のセミナーを合わせて11日間も治療院を留守にするのにかなり抵抗がありましたが、これも何かのお導きだと感じて、参加することを決意しました。
その後、ステージ1の課題を提出して、ステージ2の研修のために初めてヨーロッパへと旅立ちました。研修会場は、スペインのマヨルカ島。ヨーロッパでは有名なリゾート地とのこと。福岡から関西国際空港、フランクフルト、バルセロナ、マヨルカのパルマという長旅でした。
出発早々にフランクフルト行きが1時間以上の遅れ。フランクフルトからバルセロナへの乗り継ぎには最終の乗客員となりぎりぎりセーフ。マヨルカ島到着も30分遅れで、さらに荷物が到着していないというハプニング。そのようなこともあり得ることを予測して、一泊分の下着などを余分に手荷物に入れていましたが、大きな荷物が宿泊ホテルに到着したのは二日目でした。
研修会場は、スウェーデンのICCトレーナーの別荘で行われました。海沿いの丘にあるプール付きの白壁の別荘は、地中海を背景にしたて、映画のワンシーンにでも出てきそうな光景でした。
参加メンバーは全員で11名。マレーシアから1名。ニュージーランドから2名。ペルーから1名。スウェーデンから1名。デンマークから1名。ノルウェーから1名、カナダから1名。メキシコから1名、そして、日本からは2名。平均年齢は50~60歳位だった様子で、その参加メンバーの中で私は若手に属していました。
ほとんどの参加者が、コーチングの会社を経営されていたり、NLPトレーナーとしても活躍されている人が多いようでした。その中に警察学校を退職された方もいましたが、私のような治療家は異色のように感じました。
初日の研修テーマで、それぞれの国のコーチング事情をプレゼンする時間が設けられました。コーチング事情に疎い私にとっては、グローバルにコーチングを俯瞰(ふかん)する上でとても参考になりました。
コーチングの世界的な組織であるICFのことはあまり詳しく知りませんでしたが、今回の各国のコーチング事情を聴いて、米国主導のICFのメンバー制のシステム、いわゆる合理性を追及したフランチャイズ的なシステムにはネガティブな印象を抱いているコーチが多いように感じました。
ICFとICCは協力関係にあるようですが、コーチの認定方法には違いがあることがよく分かりました。ヨーロッパなどではICFとICCは同格にあるとのことで、企業からはどちらの認定を受けているかがが問われるという話も聞きました。また、ICCは米国では研修を行っていないということから、ICFとは異なる戦略でグローバルにコーチングを啓蒙している様子がよく理解できました。
研修では、実際のプレゼンを行う課題が何度かあり、英語でのプレゼンには苦労しました。留学を終えてから、ほとんど英語の勉強から離れていたので、改めて英語の勉強を継続しておくべきだったと反省しました。しかし、会長のジョセフ氏は、言葉以外のことを評価しているので、言葉のハンディは心配いらないというアドバイスには救われました。
今回のトレーナー研修でジョセフ氏から直接指導を受けるのは2回目になりましたが、小人数であるということもプラスアルファーされてか、ジョセフ氏の広く、鋭い洞察力やフィードバックはとても勉強になりました。そして、参加されているコーチも、経験豊富なのでとても質の高いレベルのフィードバックが飛び交い、その内容は奥深く、しかも楽しい研修になりました。
また、研修期間中の他の参加者との交流もとても参考になりました。参加者が魅力的な方ばかりでしたので、それぞれの対話に味わい深さを感じさせていただきました。
スウェーデンから参加しているコーチによると、スウェーデンでは、国がコーチを雇い、失業者に対してコーチングを試みるというプロジェクトも進められているとのことで、コーチングのニーズがグローバルに高まっていることを肌で感じることができました。
実際に私がICC認定国際コーチングトレーニングを主催できるのは2011年からなので、それまでには、さらに臨床やセミナー活動を通じてコーチングの研究に磨きをかけたいと考えております。今後、コーチングは様々な分野でニーズが高まり、さらに研究が進められることでしょう。コーチングの概念は、ニューロパターンセラピーと相通じるものが多いので、治療プログラムとトレーニング研修プログラムに相乗効果を生みだしていくことが期待できるだろうと、そのことに関してはとてもワクワクしております。